氷壁。を読んで。
高度経済成長時代、当時の風習を感じながら読みました。
山小屋で主人公と登山仲間との行動や、山を降りてからの、登山家の都会で過ごす日常。
今では考えられないほどの事が当時の日常だったのですね。
電車のホームで電車を待つ間、タバコを吸うとかね。
山に登りたいと思って読んでいると、自分自身も主人公と一緒に山にいる様な錯覚があり良かった。
最後、主人公の魚津があの状態で終わるとは読みながら全く予想だしなかった。
山を愛して、また、孤独を愛した主人公と登山仲間の小坂。2人以外の名も知らない登山家との、言葉を交わすまでもなく、登山同士の熱い友情。
また主人公の職場の上司、小説の冒頭では、登山の魚津を毛嫌いしているかに思えたけど、話が進むにつれて、カッコいい昭和の上司だった。
作者は何を読者に訴えたかったのか?
考えられる要素は沢山ある中、愛する山での自殺は、ありえないが、都会で愛する人と別れ、山で登山仲間の死に直面し、事故か、自殺か、殺人か?
どれも、ハッキリしないまま、主人公も、また、一人冬山で遭難し孤独に死亡。
山を題材にして、生きる意味、生き続ける意味、また人を愛する意味。僕はこの事を作者が問い正したい作品だったのかな?と感じました。
ですが、些か、魚津の最後は、悲しかった。