Potukunのブログ

ソロ活動、ぼっち、呼び名色々な一人活動。

「古い夢読み」・・・(と言う小説)

僕は歩いている、ただ歩いている。

狭い路地を歩いている、見覚えはないが、以前来た事のありそうな場所だ。

狭い路地の左右には全て平屋の家が立ち並んでいる、誰かが生活をしている雰囲気はない。

生活の匂いすらなく、活気すらない。

人間一人歩くのには充分だが、その路地で誰かとすれ違うには、狭すぎる。

夕暮れ、何時頃なのか、何時間歩いているのか、誰ともすれ違う事ないまま、歩いている。

眼の前には、平屋が数多く立ち並び、路地と路地、家と家には、以前そこで生活をしていたであろう人物の廃棄物が路地の隅に投げ出された状態で置いてある。

路地は若干に上り坂や、下り坂があった、右、左と行く場所さえ分からないまま、曲がり、上り、下り、歩いた。

右側の平屋から誰かが僕を見ている。

「また、奴か」

奴と眼が合わないように、歩いた。

僕は、感覚的に感じていた、奴は、僕を呪っている、奴は何時も僕を狙い襲う機会を待っている。

奴は、女性、歳は僕より5歳位年下、何時も和服を着ている、髪は腰まであり、櫛など刺した事はなさそうだ。

奴は、何時も、僕を追いかけ、後を追う事しかしない、言葉もない、ただ、僕は、第六巻で感じる、奴は僕を「呪っている」

右側から奴が出てきた、僕の前に立ちこちらを言葉なく見ている。

右側の奴に近づく前に僕は、左側に曲がれる路地を見つけ、奴に僕がとる行動を悟れれないように目線を奴に合わさず、また、左に曲がる路地からも目線を逸らしながら、左に曲がった。

僕は、曲がった路地で、足早に歩いた、奴から逃げるためだ。

僕は、奴の気配を背後に感じていた、僕に心では(早く、早く、歩くんだ、奴から逃れろ)

心でそう思いながら足早に歩いた、まるでお経を唱えるかのように(早く、早く、歩くんだ)と。

どんなに歩いても、奴は、僕の背後から遠ざける事は出来なかった。

右に平屋に玄関らしい空間が見えた、そこに入り、僕は、体を縮め、息を殺した。

(僕に気づかず、通りすぎてくれ)

と眼を閉じ願った。

耳からは、歩く音や服の擦れる音は一切しない、空気が流れる音もしない。

ましてや、僕の呼吸音すらしない。

無音だ、無音の時間を何時間経過したのか。

無音、それは、聴こえるのは、金属音だけ、(キーン)と耳鳴りだけがきこえる。

僕は眼を開け、周りを見渡し、奴が居ないかを確かめ、居ないのが分かり、平屋から再び歩き出した。

まただ、何時もの、奴だ、奴はただ僕の後を追い、その後何もしない、なのに何故僕は奴を恐怖としているのか、考えた事はない。

単純に怖い、恐怖しかないのだ。

決まって、奴に近づく時や、奴に此方の場所が分かった時、必ず、身体が痺れ、だんだん麻痺して動かなくなる、呼吸もしにくくなる、最後には呼吸すら出来なくなる。

そして、再び歩く、また歩く、僕は今から何処に行こうとしているのか、解らないまま歩いた。

緩い上り坂を歩き、眼下に緩く下に下がりながら、路地は、蛇行している、(降りるか、いや、降りた場所に奴がいる)

(右側の平屋からこちらを観ている、奴は僕に悟られない様に、身を潜めている)

近づいた時に襲う事だろう。

僕は坂を降り始めた、奴が居る平屋に近づく度に少しずつ身体が痺れてきた、奴のいる平屋の三軒前に家の前の路地を左に曲がり、真っ直ぐに歩いた、奴は僕が前を通る事を待っていたが、前を通る前に曲がった事に怒りを感じ、奴は僕を探した、僕は奴に近づいた時から少しずつ身体の痺れが感じ、奴を回避した時から段々と痺れは減少していた。

背後に奴の気配を感じながら歩いた、奴が近ければ近いほど、身体の痺れは大きくでた、真っ直ぐ歩き、右、左と瞬時に方向を変えながら、歩いた。

身体の痺れはなくなり、呼吸も楽になった、背後からも奴の気配はない。

 

大きく深呼吸をした、また何時もと同じ夢だった。

深夜2時僕の部屋、「またこの夢か」。

月に2回はこの夢を見る。